長女・そよ子誕生

2013年

夏、そろそろ出産が近いというので妻が実家へ帰り、しばし一人暮らし。

週末になると車で1時間かけて妻の実家に通っていた。

(車は妻の実家からおさがりをもらった)

土曜日、おなかの大きい妻と公園を散歩。

日曜日の夕方、じゃあまたねと言ってひとりで自宅に帰り、

月曜日は普通に仕事。

その夜。

 

仕事が終わって家で一息ついていたら妻から電話。

陣痛が来たかもしれないとのこと。

けど気のせいかもしれないのでもう少し様子を見ることに。

落ち着かない気持ちでしばらく過ごす。

そしてそろそろ寝る時間という頃に再び電話、これは生まれると!

着替えて飛び出す。

 

外に出るといつの間にか周囲は濃い霧に包まれていた。

これはただごとではない感じがする。

車に乗って出発するが前が全然見えない、

田舎道の暗闇と霧の中をひたすら進む。

全然実感はないが父親になるのか、これからどうなるんだろうという不安と高揚感。

 

大きくて近代的な病院、駐車場で妻と合流。

緊急用の裏口から入るのだが徒歩。

陣痛が始まっているのでひょこひょこ歩いて個室に入る。

メタリックな手術室みたいなところを想像していたが、

意外に木目調の温かみのある部屋だった。

そこですべての処置を行うらしい。そうなのか!

もう大変なことになっているかと思ったがまだまだ序の口らしい。

もっと進まないと生まれないので、この状態でしばらく待とうということになった。

病院関係者が部屋から出ていき、静かになる。

 

日付を超えてだいぶ深夜だが大きな動きはなく、ちょっと緊張感が切れてきた。

椅子でしばらくうとうとしたり、妻に飲み物を買ってきて、いらないと言われたりする。

明け方、おなかが空いたので売店でのりまきを買ってきて食べる。

病院の売店はなんだか少し楽しかった。

のりまきの件は以後ずっと妻から恨み言を言われることとなる・・・

 

結局そのまま朝になってしまい、埒が明かないのでオキシトシンを点滴。

するとついに動きが!

お医者さんをはじめたくさん人が入ってきて騒がしくなる。

吸って、止める!はいそこで力んで!吐いて、吸って・・・

新人の助産師さんが担当だったので指示を間違ったりしてしばらくどたばたして、

午後2時半頃、ついに生まれる。

性別は生まれてからのお楽しみということで事前に聞いていなくて、

男の子と思い込んでいたが女の子だった!

まだ全身ふやけていて、手がしわしわ

 

生まれたら生まれたですぐに体重を測ったりいろんな措置があり、

両家の親が赤ちゃんを見に来て、それで一旦解散。日常生活に戻る。

 

そこから1週間、母子ともに病院で過ごす。

週末また病院に行って名前を考えたり。

妻がふざけた案ばかり出すので僕の考えた「そよ子」に決まる。

しかしこの時点で父親というのは母親と比べて

子どもと接する時間が圧倒的に短いんだな・・・

母は片時も離れず子どもと一緒なのに、僕は週末にしか会っていない。

乾いた

 

1週間後、仕事を休んで病院にふたりを迎えに行く。

この時点で既にチャイルドシートが必要なのだが、

それを見越して妹が立派なやつを買ってくれていた。

赤ちゃんをおそるおそるチャイルドシートに乗せ、妻の実家へ。

 

ここから1か月間、母子ともに実家で過ごす。

僕は相変わらず週末ごとに通う。

コータローとそよ子

 

泣く

 

指先が豆のようだ

 

1か月後、やっと赤ちゃんがわが家へ。

ここから3人の暮らしが始まる。

ちょこんと

 

この時は子育て初心者だったから気づかなかったが、

今見るとこの部屋は危険がいっぱい。

鏡がいつ倒れるか分からないし、

もし地震なんかが起こってタンスが倒れたら大変、では済まない。

赤ちゃんが過ごす部屋は背の高いものを全部排除しないと恐いな。