公務員になる

2012年

結婚と時期を同じくして、僕は公務員試験に挑戦していた。

当時勤めていた会社は給料が高いとは言えず、

これからちゃんと二人で暮らしていけるのか不安があったのだ。

白い目で見られることを恐れずしっかり定時で退勤し、

家に帰ってパンとみかんを食べ、すぐに北大図書館へ。

料理をする時間と外食するお金はない。

そこから図書館閉館まで公務員試験の勉強。

北大図書館から徒歩数分のところに住んでいたのは幸いだった。

当時暮らしていたアパート

 

そして手当たり次第に試験を受けていく。

むかわ町役場・・・最終面接で落ちた。

北海道大学事務・・・最終面接で落ちた。

北海道庁・・・最終面接で落ちた。

 

そんなある夜、当時仕事のため道内の別の街で暮らしていた妻から電話が。

妊娠したという。

嬉しさと同時に不安。

子どもが生まれたら妻は働けなくなる、

自分1人の稼ぎで3人が暮らさなければいけない。

そうなるとやはり何としても公務員にならなくては。

 

その数日後、登別市役所から封書が。試験の結果か。

ドキドキしながらはさみを入れる。

(その時の情景は今もはっきり覚えている)

結果は・・・合格。

これで次年度から市役所職員。なんとか命がつながった。

大好きだった札幌を離れることになるが3人が生きるためにはやむを得ない。

 

社長に公務員になるので辞める旨を伝えるとかなり反対されたが、

もう決定事項なので仕方がない。

1月中旬に退職、4月の勤務開始までしばらく自由時間がある。

この時ちょうど妹夫婦がドイツで暮らしていたので

妊娠中の妻を置いて一人でドイツを放浪することにした。